スポンサーリンク

INFPにおすすめの小説第1弾【綿矢りさ・蹴りたい背中】

2019年12月1日

 

最初に

 

本日はINFPにおすすめの小説・綿矢りさ作、蹴りたい背中についてご紹介したいと思います

 

なぜINFPにおすすめかと言うと、共感できる要素が多いからです。

まず冒頭の出だしから只者ではないことがわかります

 

さびしさは鳴る。

という言葉からこの小説は始まります。

 

最初読んだ時はよくこういう魅力的な表現が思いつくなぁと感心したものです。
今現在私基準で、この表現を超える冒頭の出だしは今までにないと言ってもいいくらい好きな文句です。

ダラダラ説明するのもあれなので、今日はこの小説の見所を3点に分けて簡潔に紹介したいと思います

主人公ハツの周りへの冷めた態度

 

ハツは女子高生で、今まで中学時代から仲が良かった絹代と高校時代になりグループが分かれ(正確にはハツが一人になった)、今までのような付き合いが出来なくなったことに対し、寂しさを感じる反面、もっと距離が大きくなることをどこか頭の片隅に置いていて俯瞰している面があります。

 

ハツは無理に絹代のグループの中に溶け込むことはせず、一人で静かに学校に通っていながら、冷静に周りを見渡すような、年齢にそぐわない冷静さがあります

 

ハツはきゃっきゃするようなタイプではないため、無理に誰かとつるむようなこともせず淡々と学校に通います

 

そんな中、偶然同じ班になった誰とも打ち解けない、にな川という男の子に興味を持つようになります

 

授業中に周りの目など気にせず、女性用の雑誌を見るにな川をです人に対しては一線を引くハツですが、なぜかにな川にだけは、そうではない所から話はさらに面白くなっていきます

 

最初の時点で気づいている人もいると思いますが、ハツはドSです

にな川の人間性

にな川はアイドルの追っかけをしている、物静かな男の子です

 

自分の興味ある分野でない所にはてんで目も向けない所からオタク気質が強いことが見受けられます

 

にな川はほとんど話したこともないハツを、いきなり自分の自宅に招きます

 

そして淡々と自分の気になった所だけをハツに投げかけるのです

 

その様子がなんともシュールで、女の子を自分の部屋に入れたという意識がそもそも彼にはないのです。にな川が次どのような行動をするのか目が離せなくなります

感性

私が好きな作家さんの感性はどこか似通っています

 

その点において、この小説もまたそうであると言えます。人の無意識の内から成る機敏な心情を描写するのに長けている作家さんが多い傾向にある気がします

 

普段このように感じていたけど、言葉に出来ない些細な感情にスポットを当てるのが上手いのです

 

この感性は私が好きな作家さん、重松清さんや太宰治にも通じる所があります

 

以下某小説の一部の引用になります

認めて欲しい。許してほしい。櫛にからまった髪の毛を一本一本取り除くように、私の心にからみつく黒い筋を指でつまみ取ってゴミ箱に捨てて欲しい。人にしてほしいことばっかりなんだ。人にやってあげたいことなんか、何一つ思い浮かばないくせに。

感想

いわゆるスクールカースト最底辺の者たちの心情をよく表している所に本作の良さを感じます

 

ハツの捻くれている所が、作品の全般的な雰囲気を際立たせています。かといってただただ暗い話や意地悪な話が延々と続く訳ではなく、途中からのハツとにな川の絡んだエピソードも面白いです

 

子供ながらに、なんだかかなり成熟した考え方を持ったハツがなぜ、にな川に興味を持ったのかなどについて考えながら読むともっと面白く本作を読むことが出来ると思います

最後に

ハツとにな川の二人の間には共通点があります。まっすぐであると言う所です。曲がったことや無駄なことが嫌いで、良くも悪くも自分を貫いてはいますが、心の奥底では寂しさを抱えています

 

その寂しさが共鳴した結果、上記のような冒頭の出だしに「さみしさは鳴る」という表現に繋がっているのではないでしょう

 

人との距離感が同じ人に出会ったという無意識からなる一種の同族感が、二人を引き寄せたことは大変興味深いことです

 

 

 

 

 

kindl版はこちら↓